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凍り付いた心に、コウの優しさが染みわたっていく。
この心地よい時が、永遠に続いてほしいとさえ思った。
まだ互いを知らぬ状態でこんなにも離れがたいと感じてしまうのなら、もっと歩み寄った時――私はどうなるのだろうか。
「……コウ。また、会えるか?」
「もちろん。あなたが望むのならば」
「ああ」
彼といて新しい自分に出会えるのなら。
彼の笑顔を、優しい声を聞けるのなら。
また、会いたいと思う。
いつになく穏やかな自分を実感し、自然と頬が緩みコウの手を取った。
冷たい彼の小指と自分のそれを絡め、軽く揺する。
必ず――また会うと約束をして。
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