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1. ショットガン・アイズ
雅の家から一番近いショッピングモールのシネコンに到着。
「じゃあ、何を見ましょうか?」
彼の先導でポスターと開演時間を見る。
とにかく今から始まるやつなら何でも良い。
「すぐ始まるのがいいですね」
「あ」
高晴は指をさした。
「あれが今から始まるみたいですよ?」
ポスターを再確認。
それは超ド急の恋愛映画だった。
女子中高生がいかにも喜びそうな、漫画か何かの実写化作品で、今をトキメク人気俳優が女の子を抱きしめている。
「…………」
「いくらなんでもコレは無いですかね……」
目の前のイケメンがはにかむ。
上映時間のプレートにはタイトルだけだったから、こんなコテコテだとは思わなかったようだ。
『ショットガン・アイズ』
スパイアクションもののようなタイトルだ……。
雅がフフと笑う。
「恋愛ものには見えませんよね」
他の映画は30分くらい開いてしまう。
しかも何てこったい、次の上映は和製ホラーだ。
分類的にむしろホラーは得意だ。
外国のあのスプラッター的なヤツは平気なんだ。
……でも日本モノはダメ。
チェーンソーを持った殺人鬼は部屋の中にはいなそうだけど、暗闇から手を伸ばす人ならざるものは居そうで嫌なんだ。
「高晴さん。高晴さんがよければコレを見ましょ」
苗字で呼んでいたら、「ホントにつきあってんの?」と母親の百合子から勘ぐられたので名前で呼びますとラインを送っていたのだ。
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