258人が本棚に入れています
本棚に追加
涙が止まらない。
ハンカチで目元を押さえる。
「……すみません……」
―――――『ショットガン・アイズ』
これまたタイトルに似合わず、彼氏が死んでしまうという、切ない物語だった。
上映の最後には館内のあちらこちらからすすり泣きが聞こえた。
そして…………私の隣の彼も涙を流していた。
「なんか……すみません。……引きましたよね」
「え? どうして? 大丈夫ですよ」
こういう場合引くのかな……?
彼氏と来た彼女はこういう時引くのかな?
通常のカップルならどうだったっけ?
と数少ない経験の中の直近、3年前に終わった恋を思い出そうとしていた。
それはともかく、想像以上に良い作品だった。
「『ショットガン・アイズ』あなどれませんね」
雅もあと少しでヤバかった。
鼻をズルズルくらいはさせたのだ。
雅が気を遣って発言したと思ったのか、高晴はまた「すみません」と小さく呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!