1. ショットガン・アイズ

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 涙が止まらない。  ハンカチで目元を押さえる。 「……すみません……」 ―――――『ショットガン・アイズ』    これまたタイトルに似合わず、彼氏が死んでしまうという、切ない物語だった。  上映の最後には館内のあちらこちらからすすり泣きが聞こえた。  そして…………私の隣の彼も涙を流していた。 「なんか……すみません。……引きましたよね」 「え? どうして? 大丈夫ですよ」  こういう場合引くのかな……?  彼氏と来た彼女はこういう時引くのかな?  通常のカップルならどうだったっけ?  と数少ない経験の中の直近(ちょっきん)、3年前に終わった恋を思い出そうとしていた。  それはともかく、想像以上に良い作品だった。 「『ショットガン・アイズ』あなどれませんね」    雅もあと少しでヤバかった。  鼻をズルズルくらいはさせたのだ。  雅が気を遣って発言したと思ったのか、高晴はまた「すみません」と小さく呟いた。
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