258人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ…………」
ここで解散しようかと思った。
のだけれど、目を赤くした男を一人置いてくのもアレかと思った。
「じゃあ、せっかくだし何か食べませんか?」
カフェ&バーという看板の店に入る頃には、彼も落ち着いたのか目の赤みも取れていた。
「なんだかすみません」
彼はもう一度雅に謝った。
ご飯に誘ったのはむしろ余計なお世話だった感じ?
むしろ針のむしろ……?
向かい合って雅は思った。
この人って見た目よりも誠実な若者だわ。
ちょっと上から目線で評価してみる。
髪型は今時のすっきりヘアでさらさらとしている。
目にはかからない程度の前髪。
イケメン=チャラい
という長年の雅の中の法則が崩れるようだ。
涙もろいところがそう思わせたのかもしれない。
モテそ……
単純にそう思った。
誠実なイケメンならモテるに違いない。
初対面のお見合い相手がしゃしゃり出ずとも、喜んで彼女役を買って出る女はたくさんいそうだ。
「……ご飯に誘って大丈夫でした……?」
「いえ、僕は全然大丈夫です。雅さんはお時間大丈夫でしたか?」
時間の話ね。
「時間は全然大丈夫です」
最初のコメントを投稿しよう!