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「それはそうと、おまえ、俺を騙したな」
「え?」
「旅行とか、嘘じゃねえか」
僕はさあっと血の気が引くのを感じた。
「う……嘘じゃない……。おじいちゃんとおばあちゃんは、行ってるし……」
「でもおまえは行ってねえじゃんか」
「だ、だって……」
嘘がバレて誤魔化しようもなくて、僕はもうしどろもどろだった。
「まあ、いいや。ちょっと、家に上げろや。喉乾いた。なんか、飲ませてよ」
「ご、ごめんっ」
気の利かない僕は、慌てて伊織くんを家に上げた。
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