117人が本棚に入れています
本棚に追加
「わ……すげえ、あったかそう……」
伊織くんの嬉しそうな声が聞こえるけど、僕は顔が上げられない。
「僕、プレゼントって初めてで、よく分かんなくて、そんなので、ごめんなさいっ」
「なんで謝るんだよ。手触りいいし、高かったんじゃね?」
「ううん、全然! 安物っ……あ、そんなの伊織くんにあげて……ほんとに、ごめんなさいっ」
どうしてもっと高価な品を選ばなかったんだろう。ネックウォーマーなんて、ありきたりすぎる。プチパニックの僕は、すでに半ベソだ。
「おい、顔、上げろ」
乱暴な言い方だけど、優しい声音。
僕はそれにつられて、そっと顔を上げた。
すると目の前に、グレーのネックウォーマーを身に着けた伊織くんがいた。
最初のコメントを投稿しよう!