僕の密かな願いごと -my secret wish-

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「あ、あの、おばあちゃんたちと、旅行に……」 「旅行?」 「う、うん。温泉……お泊りで……」 「へえ、いいな。俺も受験無事終わったら、親父に温泉連れてってもらいてえ」  それから少しだけ話して、電話を終わらせたんだけど、僕の落ち込んだ気持ちは、浮上しないまま。  期待しちゃいけないって分かってるくせに。僕なんか、ただの後輩だもん。伊織くんが彼女の瑠璃さんを優先させるのは当たり前。伊織くんとクリスマスを過ごせるなんて、そんな夢みたいな奇跡、起こるはずがないんだ。  僕はぽふんとベッドにうつ伏せに横たわった。少し目線を上げると、伊織くんへのプレゼントが目に入る。 「プレゼント、お家に持っていって、おばさんに渡してもらおう……」  クリスマスは、一人でいいや。
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