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冥王は表面上はにこやかに、屈んでナシェルの髪に口づける。
怒りの深さと反比例するようなその態度。
ナシェルは震えあがり、従順なふりをして王にその身を委ねた……。
服を脱ぐよう命じられ、獣脂の燃える燈台の弱々しい灯りの下に、まだ成神と呼ぶにはあまりに心許ない細い裸体が晒された。
拒絶は許されない。云うとおりにしなければ、きっとヴァニオンは殺されるだろう。
父王は脇卓の抽斗の中から膏油を出してきて、指でたっぷりすくい採った。ナシェルの躯を四つ這いにさせ、すっかり乾いてしまった秘部を大きな指輪の嵌った指で寛げ始める。
ナシェルの躯はびくんと正直に反応し、息を殺して声を我慢しても、きつく噛み合わせた歯の間から、声にならない声が漏れてしまう。
「……んん……ん、あ……」
王の中指に嵌った指輪の感触が、穴の中にまで押し入ってくる。濡れていなければ苦痛なはずのその大きさも硬さも、膏油によってくちゃくちゃと淫らな音を立てて今はナシェルの躯を悦ばせる。
「あん……はぅ、あ……ん」
硬くしこる奥庭を指先で弄ばれて、もはや快感に耐えられずナシェルが嬌声をあげ始めると、王は途中で中指を引き抜いてしまった。
「あっ……父上」
「もっと欲しいか?」
「はい……欲しい……です」
震える声で愛撫をせがんだ。冥王は焦らすようにただ笑んでナシェルを見下ろしていたが、
「気持ちよくなりたいのなら、まずは自分で慰めてみよ」
と傲慢に宣告する。
「そんな……どう……やって、」
性愛に興味を持つより以前から父王の相手ばかりしていたので、自慰をしたことなどない。
「いつも余がしてやるように手を添えて……自分で導くのだ。ちゃんと達しなければ続きはしてやらぬぞ」
「そんな…」
そんな恥ずかしいことを。ナシェルは泣きそうになりながら許しを請うたが、冥王は頭を振って、「さあ、してみせよ」とにべもない。
ナシェルはしぶしぶ四つ這いのまま、戦慄く指で自分の一物に触れ……たどたどしく、恥ずかしそうに愛撫を始める。
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