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じきに側近たちが起き出す時間だ。
早く終わらせなければならない。
ヴァニオンの涙が、脳裏に蘇った。
彼は……どうしただろうか。まだあの場で、泣いているのか。
彼は自分の供回りから、外されてしまうだろうか。
「余所事を考えているようでは……余を満足させることなど出来ぬぞ。それから余に内緒で他の者に抱かれたこと、どう弁明するつもりだ、そんなはしたない子に育てたつもりはないのだがな」
冥王がナシェルの腰を両手で支えながら、心の内を見透かしたように云う。
「父上……お許しください……二度と……二度としませんから。彼を殺さないで、」
涙を溢しながら、王のものを最奥まで深く受け入れながら、ナシェルは哀願した。
「殺しはせぬよ。そなたが、ちゃんと反省の態度を示すのならな」
王の貌からは一切の感情が読み取れぬ。
怒りを鎮め、納得させるには、躯で応えるしかないようだ。
ナシェルが髪を乱しながら腰を上下させるたび、顎を伝って自分の胸の上に落ちる涙と汗の粒を、セダルは無言で、表情もなく見つめていた。
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