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「専門用語に説明がついてるところをみると、そもそも科学者向けに書いたものではないのかもしれないな」
「その説明も科学者っぽくないしね。まあ、アタシにはよくわからないけどさ」
たしかにリンクスの言う通りで、その書物の文体は二人の中にある科学者のイメージとはかけ離れていた。
「どちらかというと、詩人のほうが向いていそうだな。だが、魂を魔術と切り離して普遍的なものとしてとらえる、という考えは面白い」
「魔力を扱えない人間は多いが、魔力を全く持たない人間はいないからね。それと同じで、魂を持たない人間もいないはずだ。魂を感じ取れる人間がその中でもさらに少ないだけ、と考えれば……」
「文献がこれだけしかないのが歯痒いな。それこそ科学の見地から魂を観測したものについての資料でもあれば……」
眉根を寄せるアゾットに、リンクスがぽつりと呟いた。
「会いに行ってみるかい?その、ルツィールって科学者に、さ」
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