死霊術師

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錬金術都市の闇市場で入手した魔術都市の闇市場の地図は、非常に役に立ってくれた。 ある程度計画されて造られた錬金術都市と違い、近代文明の黎明期に建造された魔術都市は複雑に入り組んだ街だった。裏路地ともなればそこは殆ど迷路に近く、地図無しに闇市場を探し当てるのは相当な骨折りだっただろう。アゾットは、錬金術都市でそうしたように死霊術師に伝手が無いか、手近な闇商人に尋ねた。……返ってきたのは、拍子抜けするほどあっさりした答えだった。 「……アタシがその『死霊術師』だけど?」 正直、吃驚した。彼女はアゾットよりもずっと年下に見えたし、アゾットが、そしておそらく世間一般の人々がイメージする死霊術師のイメージとはあまりにも掛け離れていた。 如何にも活発そうな顔立ち。肩の長さで揃えられた黒髪は絹のように艷やかで、つぶらな瞳は黒曜石のような輝きを放っていた。 「……お客さんの要件は、その『ヒト』のコトかな?」 ……彼女の瞳は、アゾットを通り越してその後ろの『何か』を視ているように見えた。
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