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「……この道はさっきも通ったような気がするが、気のせいだろうか……?」
「お、記憶力いいんだね?……後ろ暗いコトがあると、棲家を知られたくないからこうやって道が分からないようにするんだよ。……まあ、アンタには無意味そうだし素直に帰ることにしようか?」
そう言うと、ネクロは細い路地に入り込んだ。曲がりくねった裏道は、錬金術都市の懐かしい研究所に続く道によく似ていた。
「ここがアタシの棲家兼研究室。合言葉は、『開け、迎え入れよ、汝が主人とその客人を。汝が二つの責務のうちの、一つをここで今遂げよ』」
……ネクロの呪文に応えて、扉が開いた。
「鍵は無いから、今の呪文がないと入れないよ。魔術言語を知ってるなら覚えられたと思うけど、知らないなら後で教えるよ。……合言葉は、アタシの他は正式な契約期間に契約相手だけが使えるようになってるからね。で、覚えられた?」
「問題無い。夫は魔術師だった。基本的な知識はある」
「……そう。それが、その『彼』ってワケかな?」
……ネクロの視線は相変わらずアゾットの背後に注がれていた。
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