第一話 お隣さん

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 家が隣なのもあって、歩いていく先はどっちにしても同じ。 だから今日の帰り道は、いつもより息苦しくなるのかと思っていた。 誰だって、あまり知らない人と長時間一緒にいるのは、耐え難いものだと思う。  だけど、何故か彼の隣は不思議と息苦しさなんて感じなかった。  それが、彼のまったりとした話し口調のせいなのか、彼が醸し出す柔らかな雰囲気のせいなのか、理由はさっぱり分かりそうにもないけど、とにかく彼という存在は初めから謎だった。  私が彼なら、挨拶すらろくに返せない人に、また声をかける事はしないだろう。  だけど、彼は態度を変えることなく笑顔でまた、「こんにちは」と声をかけてくれた。  少しだけ顔を出した太陽。
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