第一話 お隣さん

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今にも透けそうな透明感のある肌で、陽の光を浴びる彼は、気持ちよさげに笑っている。  礼儀正しく、誠実って言葉が彼にはピッタリと当てはまるけど、どこか浮世離れした所もあるからきっと、私は堅苦しい印象を受けないんだと思う。  そして、何より彼は人が好きなんだと思う。 その証拠に、家にたどり着くまでに会った人たちに私同様、「こんにちは」と笑顔で挨拶をしていた。  ジョギング中の男性は元気よく挨拶を返し、おつかい帰りの小学生は向こうから彼にじゃれて来た。  そうして、たどり着いた目的地である門の前で、立ち止まった私に彼は、門の扉を押さえたまま不思議そうな顔をした。
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