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週明け。
「ハハハ、分かっちゃったー」
「何がだよ?」
不適な笑みを浮かべる恵が廊下から、教室に座る祐吾の頭をツンツンする。
祐吾にとっては“事件”と呼べるほどショッキングな真実を知ってから数日、心にはポッカリと穴があき、食欲も減って生気を欠いていた。
「愛ちゃんに彼氏いるって分かったから落ちこんでるんでしょ?」
「はぁ?」
何で分かるんだコイツ。と少し頬を引きつらせながらも、違うし。と目を逸らした。
「意味が分からん。なんでそうなんの? てか先生、彼氏いたんだ初耳。
フッ、そんなこと生徒に言うなんて......」
「ハハハハ。よく喋りますねー今日の祐吾くんは」
やってしまった、と心に冷や汗をかき、もう迂闊に喋るのはやめよう、と口を噤む。
「まぁいいや、フフッ。
今日イイ所見せたらチャンスあるかもよー、頑張って!」
バシン、と背中を叩き、機嫌よく目を細めて歩き去る恵。
祐吾は、ヒリヒリと背中に痛みを感じながら、確かに一理あるな、とほくそ笑んだ。
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