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シュン、としてしまう祐吾。
でも、大好きな愛野先生の新たな情報を知れたことが嬉しくもあった。
外からは、金属バットの音を合図に、歓声や悲鳴が交互に起き、盛り上がりは一層熱を増していく。
それだけグラウンドが青春丸出しの楽しそうな雰囲気だからか、静かに笑い合うこの保健室だけは大人の別空間のように感じ、祐吾は優越感を覚えていた。
他に同級生もいないし、今なら何か質問をしても大丈夫だろうと思い立ち、普段は聞けないことを中山先生に聞いてみた。
「大学時代の愛野先生はどんな人だったんですか?」
いつもはあまり話さない祐吾がそんなことを聞くので、中山先生は驚いていたが、愛野先生はいつも通り屈託なく笑っていた。
会話は2人の思い出話のように進んで行きーー、
趣味でダイビングをしているということ、
アメリカ人パイロットと結婚すると言っていたこと、
夏の海では2人でナンパされる人数を競い合っていたこと、
浮気をしていた元カレの携帯を川に投げ捨て、ついでに仕事で使う大事な資料が入っているカバンまでも投げ捨ててしまったという鬼のようなエピソードまで、沢山の事を知ることが出来た。
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