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擦りむいた膝の事はすっかり忘れ、自分も友達になったような気で2人の先生と笑い合っていると、慌ただしい足音が廊下から響いてき、そのまま保健室まで入って来る。
「失礼します先生! 祐吾は......、あ」
心配そうな顔をしている恵だった。
どこから走って来たのか、かなり息を切らしていて、いつもは綺麗に整っているボブヘアーの前髪もバラバラに散らばっている。
祐吾と目を合わすなり、何も言わなくなって気まずそうな顔をした。
中山先生は、ナイスタイミング、と笑って祐吾を連れて帰るように言った。
今日はもう日が暮れるまでここにいたいと思っていたが、それを口にすれば先生への思いを疑われる、慎重な祐吾は大人しく恵と保健室を出た。
静かな廊下を横並びで歩く。
ツン、とした表情の祐吾とそれを横から見上げる恵。
「ケガ、大丈夫? てか何で怒ってるの?」
「お前が邪魔するからだろ。あーあ、楽しかったのに」
「え、なにそれー! それはもう愛ちゃんへの気持ちを認めたってことでいい?
ねぇ、ねぇねぇ!」
「バカッ、声がデカいつーの! てか違うから!」
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