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ボンッ! と祐吾の机を叩く国語教師の井上。
「起きろ土本! また寝やがって! 俺をナメてんのかっ」
その日も、祐吾は1限目から爆睡していた。
ピッチャーである祐吾は、バッティング練習のみの野手とは違い、下半身のトレーニングを中心に早朝から壮絶な練習に励んでおり、教室まで上がってくるのもやっとの状態。
退屈な井上の授業など、起きていられる筈がなかった。
推定50歳、ベテラン教師の井上の怒声はよく通ることで有名だ。
犯人不明の貧乏ゆすりも、花粉症達の鼻啜りも止み、教室内は静寂に包まれた。
「......」
うっせー。と心底、嫌悪感を抱く祐吾はダラァ、と体を起こし、目を擦りながらアクビをする。
その態度に感情を煽られた井上は血相を変えて祐吾の胸ぐらを掴む。
「お前この野郎っ! 立てっ!」
ガタガタと騒々しい音を立てる机や椅子。生徒達はその一部始終を怯えるような目で盗み見ている。
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