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俺の父は世界で有名な大企業、支倉グループの社長だった。
そして俺は支倉グループの跡取りとして厳しい教育をされ育てられた。
常に学校では一番ではなくてはならず、友達を作る事も禁止されていた。
そこまで期待されていたのに両親の離婚をきっかけに俺は父に呆気なく捨てられた。
…それで別に父を恨んでいるわけではない。
努力してもやっぱり俺は凡人で、神から授けられた天才である義弟には勝てなかった…ただそれだけだった。
俺は母に引き取られ支倉の家を出た。
そして俺は母にも捨てられ、手元に残ったのは多額の借金だけだった。
子供の頃は弟と仲が良かった。
弟はエリートを育てる孤児院出身で俺になにかあった時の為に支倉の家に迎えられた。
孤児院でもトップの成績で天才であったが、跡継ぎの俺を尊敬してくれていた。
さっちゃんさっちゃんととてとて歩いて着いてくる姿はとても可愛かった。
いつも俺の手を握り離さなかった。
一歩後ろを歩く弟は控えめで大人しい性格だった。
…俺が10歳の頃、家を出るまでは…
あれから弟はどうなったのか分からない、別れが惜しくなるからとさよならを言わずに出ていったから…
支倉の家は日本で影響力が最も強いから当然数年だったが次期跡取りとして何度もパーティに呼ばれていたから俺の顔を覚えてる人がいるかもしれないと前髪を長くして眼鏡を掛けて支倉の家に迷惑が掛からないように変装して学園に通っている。
普通の生徒も通っているが金持ちのご子息の方が明らかに多い学園だからだが、俺の顔は目立たない地味な顔だから気付かれないかもしれないけど…変装は保険みたいなものだ。
幸い俺は支倉と名乗ってないし名前は覚えていないからまず俺だとバレないだろう。
学費だけは支倉の父さんが払ってくれているから俺の心配は生活費だけとなる(借金は学生で返せる額じゃないからまず考えない)
家の近所にある古風なカフェでバイトしている。
その時もいつ学園の生徒が来るか分からないから眼鏡は必ず掛ける。
本当は俺の通う有栖院学園はバイト禁止だが、俺の家の事情を知る理事長先生が特別に許可をくれた(支倉の事情じゃなくて借金の事情だけだけど)
俺の名前は東金佐助、大企業の跡取りから借金まみれの貧乏に見事転落した哀れな男だ。
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