2章

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「きゃー!!はやい!はやいよ幸村!!こわいー!!」 初めての乗馬は予想外のスピードで私は思わず涙目で叫んでいた。 「ちょおまえ!暴れんな!」 「むり!しぬ!!」 風が直でビュウビュウ当たってちょっと痛いし、景色が目まぐるしく進みすぎて酔いそうにもなった。 「…死ぬかと思った……」 どちらとも無く呟き、2人は馬を降りた。 町に着くのは一瞬だったと思う。 でも私には一生のように長く感じていた。 できればもう暫くは乗りたくないな…。 そんなことを思いながら2人で町を見て回る。 大昔のお店に少し興奮しながら見ていると、幸村が不思議そうにこっちを見た。 「お前、こーゆーのも初めてなのか?」 私は頷いた。 「ますます不思議な奴だな。お前がいた所ってどんなとこなんだ?」 幸村にそんなことを聞かれ、私は現代の街並みを思い出していた。 「一つ一つの建物が高くて、夜でも明かりがいっぱい付いてるの。緑が少なくてちょっと空気は濁ってるかな」 立ち並ぶビルにマンション、デパート。 好きなブランドのお店に入ってちょっと奮発しちゃったり。 そんな日常を恋しく思った。 幸村は私の言葉を聞いて考え込んだ。 「花街にでも住んでたのか?日ノ本でそれっぽいところはそれくらいしか思いつかねーけど」
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