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「あのね、このお花って小手毬とは違うの?」
優未が指差したのは、白い丸い形の花がいくつもついているアリッサムという花だった。
その白い丸い花は中央が黄色で白い花びらのある小さな小さな花の集合体で、確かに小手毬の木に咲く花とよく似ていた。
「似ているけど違うよ。これはアリッサムのスノーホワイトっていう種類。どんどん増えていくタイプのお花だから……」
「どんどん増えるの?」
優未が目を輝かせた。
お墓に置く花には向いていない、と言おうと思ったのだけど……。
「あのね、ママは小手毬のお花が大好きなの。だから、お庭には小手毬の木があってね。そのお花を持って来たかったんだけど、お引越ししちゃったから……」
少し切ない表情をした優未は、それでもアリッサムに目を向けてにっこりと笑った。
「お姉さん、このお花をね、いくつかまとめて、こんな綺麗な入れ物に入れて欲しいの」
優未はディスプレイとして作っていた、白い陶器の大きめのポットに入れた秋の花の寄せ植えを指差した。
「そうね、じゃあ増えてもいいように、大きめのポットに入れようか」
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