2・優未の好きな花

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「これ、優未ちゃんが持って帰るの?」  花の用意は出来たけど、ランドセルを背負ったままの優未がこれを持って家に帰るのだろうか? 「後で良かったら配達するよ。今持って帰りたいなら、お姉さんも一緒に持って行ってあげるよ。今お客さんもいないし、少しの間、お店は閉めておくから」 「ううん、大丈夫だよ」  優未はにっこり笑って首を横に振った。 「あのね、もうすぐパパがここに来るの。お金もパパが払ってくれるから。あたしはね、本当は家に帰ってから来るはずだったんだ。早く帰らなきゃ怒られちゃう」  優未はいたずらっ子のようにペロッと舌を出すと肩をすくめて、くるりと背中を向けた。 「あ、待って、優未ちゃん」  思わず呼び止めると、私は優未を切り花の並んでいる冷蔵庫(キーパー)の前に立たせた。 「お母さんじゃなくて、優実ちゃんはどのお花が好き?」  吟味するように冷蔵庫(キーパー)の中の花を見渡すと、目の色が変わって何かを見つけたのが分かった。 「あのお花! あの、小さいヒマワリみたいな、オレンジ色のお花!」  それはオレンジを輪切りにしたような色のガーベラの花だった。  私はそれを一輪取り出すと、長い茎を短く切り、淡いピンクの細いサテンのリボンを結んで優未に差し出した。 「ありがとう、お姉さん!」
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