あんたを守りたい

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彼らは本気で、僕達を檻に戻そうとしている。 それを察した僕は、傍にあった木の棒を手に取り、構えた。 すると、彼らはまた、低い声で僕を笑う。 まるで、小さい僕に勝ち目がないという雰囲気が漂う。 それでも、小さい僕は諦めなかった。 リタを魔道師の魔の手から守り、一緒に城から抜け出すために。 震える手で木の棒を握り、華属性の魔道師の一人に向かって突進する。 が、僕の攻撃はあっさりとかわされてしまった。 攻撃を上手にかわしたのを良いことに、その隙を突いて僕の脳天にチョップを食らわせた。 その一撃に耐え切れず、小さな僕は気絶してしまった。 「ヨゼフ!」 気絶した僕の体は魔道師の一人に持ち上げられ、檻の方に向かうが、走っている途中で彼女も腹を蹴られ、気絶してしまった。 ――こうして、このまま僕達は、魔道師達の奴隷として九年間働かされた。 もし、キアの気紛れが発端のあの大蜘蛛との戦いがなければ、僕達は永遠に彼らの奴隷だっただろう。 夢の中で、小さなリタが魔道師達に連れて行かれた所で、僕は目を覚ました。 起きた頃には、もう朝になっていた。
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