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「……今、それ言うのズルイ」
「……だって。僕は若葉さんって呼んでるのに。いつ僕の事名前で呼んでくれるかなって待ってたんですよ?」
「……タ、タイミングがね…」
こういうやり取りは凄く苦手だ。勿論、沢畑くんがあたしのことを自然に名前で呼ぶようになったのには気づいてた。でも、名前を呼ぶって結構勇気がいるもので。呼びたいけど、呼べなかった。ずっと。
「呼んで。今すぐ」
急かすような沢畑くんの言葉に捕らえられ、抗えそうもない。あたしはぐっと息を詰まらせたけれど、大きく息を吐き出して、そして声にした。
「海斗、くん……」
「呼び捨てで」
「……海斗」
「若葉……」
そこからはもう、沢畑くん……海斗はめちゃくちゃだった。何度も何度もあたしの名前を呼びつつ、シャワーで二人分の泡を洗い流すと、あたしの手を引き檜の湯船に引き込む。
檜のいい香り……なんて浸っている余裕はなかった。海斗はあたしをお風呂の蓋に手を突かせて、ぐいっと腰を引き上げる。た、立ちバック!? 海斗の様子はよく見えなかったけれど、背後から聞こえる荒い息と、高く掲げられたあたしの尻の間を擦る、熱く太く逞しい熱棒から、海斗が異常に興奮しているのが分かった。
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