水の国

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 特にもう怖いものはないと扉を普通に開け、中を覗くと、真ん中に水槽。その中には本で見たことがあるくらいで、本当にいるとは思っていなかった人魚がおり、水槽の中を叩き何かを伝えようと口をパクパクと動かしている。 「人魚って喋れないんじゃなかったっけ?」 「それは童話の話でしょ?」 「バズビー、人魚見たことある?」 「無い!」  しきりに叩くので近づいていくと、後ろを指をさして何かを叫んでいるようにも見えるが、声は届かない。 「後ろ?」 「あ、何かパネルがあるからあれの事かな?」  普通に『開ける』『閉める』と書いてあるボタンは開ける方が青、閉める方が赤となっていたので、迷わずに開けるボタンを押すと、ビーッビーッビーッビーッと警報のような音が鳴り、前後の扉から、モリのような武器を持った二足歩行の半魚人が気持ち悪いほど出てきた。 「これ、街の人じゃないよな?」
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