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どちらもみ目麗しい少年なので子供達の取り合いになるのは仕方がないのだけれど、
「皆、今は食事の時間です! 雑談しない!」
僕はそう言って、子供達を叱ったのだった。
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王子様の教育がどんなものか僕は全く知らなかったので、この子も特別扱いで内職をさせないというわけにもいかなかった。
出来る限り目立たせないように、というのと少しでも貯蓄を増やすためにという理由から、メルスに内職を教える様にルイーズに言った所、
「え、ええ!」
僕は驚いた。
メルスの作った刺繍もレースも繊細で、しかも作業が早い。
他の子供達はおおーと歓声をあげている。
なんでも、病弱な母と一緒にいる事が多くて自然と覚えてしまったとか。
そんなで覚えてしまえるメルスの才能にも僕は感嘆してしまうが……そこでそれを気に入らない子供が一人。
「う、ぐ、僕だって負けないんだから!」
ルイーズも必死になっていたけれど、察しである。
そんな涙目になっているルイーズに、メルスが近づいていって、頬にキスをする。
ルーズが真っ赤になって、
「な、何をするんだ!」
「昨日慰めてくれたお礼も兼ねて。あんな風に優しく慰めてくれたのは君が初めてだし」
「べ、別にあれくらい普通だ。年下の子とか、新しく来た子とか皆……寂しくてよく泣くし」
「ルイーズは、僕が夜に悲しくなったらこれからも慰めてくれる?」
「……いいよ」
照れたように、ルイーズがそう答えるとメルスが、
「分かった。その内僕、ルイーズに似合う素敵なドレスを用意するね!」
嬉しそうに微笑んだメルスだが、反対にルイーズの機嫌が悪くなる。
「何でドレスなんだ。そもそもドレスを着るなら、メルスの方じゃないか!」
「……どうして僕が着ないといけないの?」
それにメルスも笑みを消してルイーズを睨む。
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