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そんな喧嘩に発展しそうな二人に僕は深々と溜息をつきながら、
「二人とも、それならどちらが沢山内職を出来るかで競いなさい!」
僕はそう叱り、二人に内職の仕事をさせたのだった。
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そうやって子供達の相手をしつつ、魔法使いとして僕は動き続ける。
今日は朝から魔法使いの僕の方に、エリアスが来なかった。
色々忙しかったのもあるけれど、嫌われているとはいえ来なければ来ないでそれも悲しい。
僕は相変わらず凄くエリアスが好きだなと思っているとそこでオルヴァがやってくる。
「フランツがくわしく話を聞きたいそうだ。構わないか?」
「話を聞きたい、ね。それは僕に占って欲しいってことかな? それとも孤児院のルイスとして、王子様を預かっている事についてお話したいってことかな?」
「恐らく両方だろう。運命の恋人の話も興味を持ってくれたから、それも含まれるな」
「ふーん、僕の占いで運命の恋人を決めちゃうんだ」
そう思いながらも、片手間に占っていくと、そのフランツという貴族、この前僕がエリアスに粉をかけていた女性の兄らしい。
つまりオルヴァのお見合い相手の兄である。
何だかな―、というかエリアスに力を貸しているオルヴァは煙たい存在だったりするのかな―と僕は思いつつも黙っているとそこで、オルヴァが楽しそうに笑いながら僕に、
「私のお見合い相手のあの女性が、ある下級貴族の男と本気で恋人同士になって……羨ましく思ってしまったらしい」
あー、あれか、僕が関わったあの人達、結構うまく行ったんだなと気づいて僕は笑う。
何がおかしいのかとオルヴァに問いかけられたが僕はそれ以上話しても話がそれるだけなのでそれに関しては語らず、
「……あ、うん。そのフランツって人はオルヴァに引け目はないの?」
その問いかけにオルヴァは少し考えてから、
「むしろお見合いを私が引き受けた事自体が意外で、どんな裏があるんだろうと警戒していたらしい。結局は上手く行かず、ルイス、君という“虚無と静寂の魔法使い”が絡んでいるのではと疑っていたらしい。それで……以前からちょくちょく君に興味を持っていたようだが、全て断った。私の独断でね」
「なんで?」
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