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首をかしげる僕に、オルヴァは苦笑して僕の髪を一掬いし、キスをする。
突然の行動に僕は顔を真赤にして、
「な、何するんだ突然!」
「いや、綺麗な髪だと思って。そもそもルイスは自分の姿がどんな風に男の目に映るのか分かっていないだろう?」
「自覚はしているよ、見た目がいいのはね。それに僕だって男だし自分の身ぐらい守れるよ。でもね……そもそもこの“虚無と静寂の魔法使い”である僕に手を出そうとする輩がいるとは思えないよ? 占う人達だって皆……どこか恐れを抱いた瞳で僕を見ているのに?」
オルヴァはおかしな事を言うなと笑うと、そこで僕はオルヴァに床に押し倒された。
突然の行動に僕は抵抗できず、手首を掴まれて床に縫い止められてしまう。
まさかこんなことをされると思っていなかった僕は、大きく目を見開いてオルヴァを見つめ、
「オルヴァ?」
不思議そうに名前を読む僕の声は、どこかか細く震えている。
そんな僕をオルヴァが真剣な表情で見つめている。
その瞳に宿る“熱”に僕は“怖さ”を覚えてしまう。
いつもの優しくて、でも変態なオルヴァは鳴りを潜めていて、そんなオルヴァの顔が僕に近づいてきて……僕は動けない。
そこでオルヴァが小さく苦笑したのに気づく。
しかも僕の額にキスをして離れていき、
「こんな風に襲われるかもしれない危険を、もう少し認識しておいて欲しい」
「! 驚かせないでよ! うぐっ、驚いたよ、もう」
「はは、さて、そろそろ客人を招く準備をしに行ってこよう」
そういってオルヴァは部屋から離れる。
そんなオルヴァを見送りながら、倒れたままの僕は動けずにいた。
だって突然の事だったしそれに、
「僕は、オルヴァが僕の事を好きだって知っているんだ」
でも、多分その思いには答えられない、と思う。
早めに王子の件も処理して、オルヴァに素敵な恋人を探してあげよう、僕はそう決めたのだった。
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現れた金髪碧眼の男に僕は、うわっ、関わりたくないと心の中で思った。
何となくオルヴァに似ているというか、どうして僕がそう思ったのかというと僕の足に繋がれた鎖を見て一瞬だけ目を輝かせたのだ。
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