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「さて、それで僕達、正確にはオルヴァと協力関係にはなれるかな?」
「……そうするより他はないだろう」
「それじゃあ、それで良いね。後はそうそう、貴方に最適な恋人だけれど、彼は今、エリアスと同じ騎士団にいる人物で、ゲルトという名前だよ」
「……帰りにでも立ち寄ってみるとしよう。期待はしていないが」
嘆息するフランツに僕は、それはいい事だろうねと答えて更にフランツの機嫌を悪くさせたのだった。
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それからしばらくしてエリアスがやってきた。
何だかげっそりとしているようだ。
「どうしたの? 今日は疲れているみたいだね」
「……こちらの方がましだな」
何だか酷い言われようだったけれど、それからエリアスは疲れたように僕を抱きしめた。
どうした!? 一体何があった!? そんな気持ちになりながらも抱きしめられるのは嬉しくて、僕もエリアうの背に手を回そうとして……突き放された。
エリアスの瞳が、不安そうに僕を見て揺れている。そして、
「帰る」
「そうなんだ。じゃあまた明日」
そう僕が答えると、エリアスは機嫌が悪そうに帰っていった。
引き留めてもいいのだけど、でもその分だけきっと孤児院の方でエリアスと会う時間が長くなるだろうし、そう僕は思ってエリアスを見送ったのだった。
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僕が孤児院の人形に再び戻ると、メルトとルイーズの戦いは、引き分けに終わっていた。
といっても、やはりまだまだメルトの方が内職に慣れていなかったらしく、ルイーズとの差が開いてしまったのである。
けれど悲しそうに一生懸命頑張るメルトに、ルイーズが少し手を抜いてどうにか引き分けに終わったようだ。
何だかんだ言ってうちの子達は優しいよなと思いつつ、僕は調理を始める。
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