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私は深くため息を付いてルイスの額にキスをする。
私はルイスを怖がらせたいわけではなく、そして警戒して欲しくない。
少しでも私はルイスに愛して欲しいのだ。
けれど代わりに無防備さを注意して、フランツに会わせる。
フランツをやり込めて、そういえばフランツはルイスが何処の孤児院かを知らなかったなと思い出す。
こちらにとって有利な状況で協力関係が得られたのも僥倖だ。
更に付け加えるなら、最近エリアスに対して酷い男のゲルトが彼の恋人に最適らしい。
上手く味方側に引き込んで情報を引っ張り出せればと私は思う。
そしてその夕方頃にエリアスがやってきたが、酷く疲れているようだった。
どうしたのかと聞くと、身代わりに恋人にさせられそうになって断ったらしい。
よほど大変で嫌な相手なのだろうと私は深く気にせず、少し会話しただけで終わる。
それから仕事をして、フランツからゲルトだと教えてくれてありがとうというようなウキウキとした連絡が入った。
一体何をしているのだろうと思いながら、彼を上手く此方側に引き込んだと伝えられる。
そして、エリアスの秘密についてもゲルトに話していいのかと問われて、私は、
「手綱を握れるなら構わない」
そう告げた。
もちろんだと返ってきた答えに、フランツは一体何をやっているのだろうと私は思ったが深く考えないようにする。
そして就寝前にルイスに会いに行くと、
「うーん、明日キノコ狩りに森に行くんだけれど、そこにエリアスと、それを狙う奴らが来るかも。今ちょっと不確定だから明日の朝にするよ」
「では王子は孤児院においておくのか?」
「……僕の側が一番安全だね。彼らは孤児院を見て回っているし、だったら森に入った方がまだ見つからないみたい」
「明日の朝には分かるのか?」
「……多分。近い未来の方が当たる確率が増えるんだ。大丈夫、僕が皆を守るから」
笑うルイスに、そんなルイスが好きだと私も微笑んだのだった。
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