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でも僕にとっては、
「約束がある、いわゆる仕事のお付き合いなだけだし」
「……そんな乾いた関係なのか? オルヴァは……お前をとても気に入っているように見える。親友だから、それは分かる」
「ふーん、それでエリアスには罪悪感があるの?」
「……ある」
相変わらずこのオルヴァとエリアスは仲が良すぎて、僕はずるいと思ってしまう。
その間に僕は絶対に入れてもらえないのだ。
でもエリアスの話を聞きながらも、
「確かに僕は、オルヴァに良くしてもらっているのも含めて気に入ってはいるよ。好きといえば、好きかもしれない。でも……」
エリアスと比べたらと僕は言おうとして、何故か言葉に詰まってしまう。
あれ。
確かに僕はエリアスが好きで、でも、オルヴァも好きといえば好きだけれど……。
胸がざわめく。
自分が何かを間違えてしまったような、そんな感覚。
もしもエリアスをとってオルヴァを選ばずに離れて……。
何処か空虚さを覚えて、僕は戸惑う。
これまで一緒にいたのと、一緒に陰で戦っていたせいか、僕の凄く近い存在にオルヴァはなっていたと気付く。
それもエリアスと同じくらいに。
一緒にいたいと願うほどに。
でもこんな我儘はきっと許されない。
どちらかを選ばないといけない。それなら、
「……エリアスには、教えてあげる。僕は、オルヴァが確かに好きかもしれない」
「それなら……」
「でも僕は、それに多分答えられない。だから、その内オルヴァに最も似合った恋人を探してあげようと思うんだ。秘密だよ?」
「……そうやって、勝手に人の心まで弄ぶのか?」
「その人が幸せになるのに、エリアスは何時も怒ってばかりだね」
そう言って笑う僕だけれど、エリアスが怒っているのはオルヴァが大事な親友だからだ。
羨ましいなと僕は思いながら小さく笑っているとそこで、僕は顎を掴まれて上を向かされてキスされる。
それは触れるだけで離れたけれど、エリアスは何処か痛ましそうな顔で僕を見る。
「今のオルヴァを見る事が出来ないお前は、“不幸”だ」
「……うん、そうかもね。でも僕は……オルヴァもエリアスも、大切に思っているんだ」
つい言ってしまったその本音にエリアスはそれ以上何も言えないようだった。
そこで僕は、ああ、言い忘れたけれどと付け加えて、
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