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「今日はここに近づかない方が良いよ。きっと危険だからね。……夜は大丈夫かもね」
「……今日は近くの森に見回りに行く」
「過保護だね」
「……俺が好きな相手が行くと言っているのだから、心配して見回るのは当然だ」
「良いと思うよ。……エリアスと組むゲルトも、大人しくなっているだろうしね」
「何を知っているんだ?」
「さあ。全部話すのはきっともう少し先だと思うよ?」
そう告げて笑う僕にエリアスが嫌そうに舌打ちするのが聞こえたのだった。
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そんなこんなで、エリアスにあってから孤児院の人形に戻った僕達は、キノコ狩りに森に向かった。
「ほら、これが食べられるキノコですよ~」
「……よく分からないよ」
メルトが困ったようにキノコを見て、むむっと睨みつける。
そこでルイーズが近づいてきて、
「このキノコは、ほら、このかさの付け根の所がほんのり赤いでしょう?」
「! 本当だ!」
「それでこっちのキノコは……」
ルイーズが、嬉しそうに教えている。
確かに、メルトよりも自分が知っているんだぞという自信は見え隠れするけれど、メルトはメルトで珍しく大人しくしている。
朝は意地を張っていた気がするけれどどうしたんだろう、そう僕が思っていると、
「ルイーズは物知りだね」
「そ、そうかな……」
「うん、だからお礼をするね」
「え?」
そこでルイーズに、メルトが唇と唇を重ねた。 いきなりそっちに行くかというか、おませというか、多分これを狙っていたからメルトは大人しかったのだろう。
そしてルイーズは顔を赤くして、はわわわ、と呟いていて、口をパクパクさせる。
何も言えなくなっているルイーズに、メルトが笑って、
「その内ルイーズを攫いに行くから、よろしく」
「……その内偉くなるの? 王子様になったら、攫われるのを考えてやってもいいぞ。ま、無理だろうからもうちょっとハードルを下げて……」
「分かった、ルイーズを手に入れるために僕、王子様になる!」
「……ごめん、今のなしで」
「なんで? 僕が王子様になるのは駄目?」
「そう言ったってどうやってやるんだよ……大体、僕が恋人という意味で王子様になってその内攫いに行ってもいい訳で……」
「あ、それは駄目かな」
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