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にこっと笑ったメルトが、きっぱりとルイーズに告げた。
それにルイーズは怒りだして、メルトと喧嘩をはじめてしまう。
僕は慌てて二人の仲裁をしているとそこで、草むらからがさっと人影が幾つも現れる。
僕は“おかしい”と思った。
人数が多すぎる。
予定では、数人のはずなのに数十人になっている。
「追い詰め過ぎたかな?」
そう僕は小さく呟いて嗤う。
この程度ならどうにでもなるけれど、そこで、
「ルイス!」
僕の名前を呼ぶエリアスが現れたのだった。
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魔物に襲われて、いるかもしれないから様子を見に来たのだと思う。
エリアスは、強い。
見ている間に次々と倒している。
それに目を奪われそうになりながらも、とりあえずはルイーズとメルトを含めた子供の保護を、と思った所で、
「おい、この子供! あれじゃないか?」
「……こいつを奪えは、こちらのものだ!」
メルトが王子だと気付かれてしまったようだ。
とりあえず僕は、ルイーズとメルトの二人を抱きあげてかけ出す。
けれどそこで現れた魔法使い風の男達を見て、完全に僕の予定外だと舌打ちしたくなる。
時折、オルヴァが監視も含めて何度か城の魔法使いを連れてきた事があった。
だから彼らの服装を僕は知っていて、そして、その彼らが今傍にいる。
ここで撃退をしたら、色々ばれるよなと思うと同時に、このまま攫われてアジトごと潰してしまおうかと思う。
さらっと未来を見つめても……その方が良さそうだ。
援軍が来られても面倒ではあるし。
そして僕の力を使えばどうにでもなる。
危険な魔法使いの自覚はあるけれど、いざとなったら、記憶を消せばいいか、という話しなのだ。
だから僕が危険な魔法使いだと気付かれることはない。
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