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そう思って、人形の体を維持したまま、彼らの魔法を僕は受け止めて気絶したようになふりをする。
エリアスが僕の名前を再び大きく呼ぶのを聞いて罪悪感を覚えるけれど、これも全部……僕なりの僕が大好きな人達全てを守るためだから、そう思って、一時的に気を失ったように僕は意識の結合を解除したのだった。
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僕が事前に、魔法使い側の方でオルヴァを呼んでおいたのも良かったようだ。
人形の方が気絶しているふりで周りを確認しつつ、こちらの方の僕はオルヴァに、
「オルヴァ、僕、メルト王子たちと一緒に攫われてしまったみたい」
「……王子は無事なのか?」
「僕があの子を傷つけるような事をすると思う? エリアスにそっくりなのに」
「……それで私を呼んだ理由は? 攫われる予定は昨日まではなかった気がしたが?」
「うん。何だか追い詰め過ぎたみたいで。……援軍来るよりは良いかなって」
そう僕が告げて、オルヴァもようやく気付いたようだった。
気配を消した、招かれざる客。
けれど近づけば姿は見える。
僕を守ろうとするように、オルヴァが僕の前に出る。
僕は焦って、
「オルヴァ、オルヴァは僕の後ろに隠れていてよ。怪我したら大変だよ」
「……お姫様を守るくらいの事は、私にもさせてくれると嬉しいな、ルイス」
「で、でも」
「少しくらいは頼って欲しい」
そう微笑まれてしまえば、僕は何も言えなくなって、胸がドキドキしてくる。
困る、こんな時なのに、それもオルヴァ相手に。
そう思っているとそこで、悪そうな奴が出てきた。
「たかだかカビの生えた伝説の魔法使い、それもオルヴァが囲いたい為の偽物だと思っていたのに、本物だとは思わなかった」
その言葉と同時に一斉に、魔法使い達が僕達に向かって杖を掲げる。
けれどそれはすぐに消し去られる。
オルヴァの魔法だ。
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