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“貴族”の中でも、屈指の魔力を誇るものがオルヴァなのだと以前僕は聞いていた。
たしかに僕ほどではないけれどオルヴァは強い。
宮廷の魔法使いの魔法を一瞬で消し去るのだから。
けれどすぐにまた魔法使いが呪文を唱えて、更に戦闘員らしきナイフやら何やらを持った暗殺者のようなものが背後からも現れる。
随分と人数を用意したようで、と僕は思いながら、
「僕を守れて満足した? オルヴァ」
「もう少しいところを見せたいのだが、これでは手が抜けそうにないな」
「……僕はオルヴァの本心から僕を心配してくれただけで十分満足だよ?」
「……まったく、自分よりも強い相手にいところを見せるのは、難しい」
嘆息したようなオルヴァだけれど、次の瞬間には周囲にいた敵全てが倒れている。
後にはひとり特に悪そうな……どこかエリアスにも似ているような人物がひとり。
彼は僕を見て、
「この、化け物が。お前さえいなければ全てうまく行ったのだ!」
「どうだろうね。そもそも自分からのこのここんな場所に来て、貴方は何をしているの? 僕を懐柔しようと思ったの? ああ、人をよこす余裕が無いくらい追い詰められちゃったのかな?」
くすくす笑ってやれば、忌々しそうに彼は僕を見つめる。
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