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朝早くにあの魔法使い会いに行けば、相変わらず俺が来るのが分かっていたらしい。
そして追い詰めすぎたなどの物騒な言葉が、あの魔法使いの口から出ている。
また、そんな危険なことをして……そんな苛立が俺の中で浮かびながらも、
「また何か悪だくみをしているのか?」
「……エリアス、今日は早いね。どうしたの?」
「わざと聞いているのか?」
「うん」
悪びれもなく、楽しそうに頷く魔法使い。
そんな顔すらも可愛いと思いかけてしまい、俺は嫌になる。
同じルイスという名で髪の色も同じ。
なのにどちらも俺を惹きつけてやまないのだと、今更ながら俺は思う。
しかもまた大量に魔法の球を渡してくるし、心配されているというか、この魔法使いは意外に過保護というか……本当に、俺が好きなのかもしれない。
なのに、素直に礼を言えば、この魔法使いは、心まで渡すつもりになったかとわざわざ聞いてくる当たりが性格が悪いと思う。
更に話していけば俺が孤児院のルイスが好きなのを知っていて、孤児院のルイスも含めて助けてくれているらしい。
この魔法使いは俺が好きなのに、俺が大切にしている人も大事にしてくれるのだ。
そう思いながらも、最近特に楽しそうな親友のオルヴァの顔が頭に浮かんで、この魔法使いに聞いてみる。
彼は恋愛感情がオルヴァにはないが、気に入ってはいて、だから最良の恋人をそのうち探すという。
それが俺には気に入らなかった。
この悪い魔法使いは確かに俺も惹かれかけているけれど、友人のオルヴァが特別というくらいに気に入っているし、大事にしているのを知っているから、そんな風に他に似合う相手を与えようと画策して、今のオルヴァを見ていないこの魔法使いが俺には不愉快だった。
しかも最後に森に行ったほうがいいかもと警告されて、しかも何か俺に秘密にしている話があるらしい。
このもったいぶった言い回しは嫌だが、信用出来る……すでに今までの状況で信用するしか無い俺は、深々と嘆息してその場を後にしたのだった。
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昨日の今日で、何故かゲルトの様子がおかしい。
よそよそしいというか、エリアス様と呼んだり、何かおかしい。
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