その名は豆腐料理屋

その心配は一時間後に杞憂となった。

驚いたことに料理によって豆腐の味が全く違うのだ。

つまりは、料理によって使う豆腐を変えているのだろう。

生まれてはじめて湯葉を食べたのは、この店だ。

きっとスーパーで買った湯葉では、ここまでの感動はないだろう。

味の濃い豆腐。豆腐でありながら歯ごたえを感じる豆腐。

豆腐の味など、余程の美食家じゃないと分からないと思っていた私にもその繊細な味の違いがはっきり分かった。

豆腐料理を夢中で平らげていたら、目の前で嫁が呆れた顔をしていた。

「食べ過ぎじゃない？」

「あはは。旨いからさ」

出された皿の料理は綺麗に片付けられた。

ほとんど私が食べたのだが。