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それ以来、私は『豆腐料理屋』に行ってない。
本当は行きたいのだが、土地勘のない私は何処にあったか分からないのだ。
もう行けないのかと懐かしむことがある。
嫁は「行けばいいじゃん」と簡単に言うが。
何故、そんなに簡単に言うのか娘が歩けるようになってから気付く。
たまたま娘の手を引いて近所を散歩をしていたときだ。
いつもと違う道を歩いた途端、『豆腐料理屋』の看板を見つけた。
二度と行けないと思っていた店がとんでもなく近所にあった。
あのとき、食べ過ぎた私に嫁が意地悪で教えてくれなかったかも知れない。
そんなエピソードも交じって、私にとって『豆腐料理屋』は最高の店だ。
それでも私は行ってない。
いつか娘がもっと大きくなったら改めて連れていこうと思うからだ。
きっと娘も感動するだろう。
たった一度の店。私の最高のお気に入りだ。
了
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