再会は雨音と共に

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 窓には雨粒が絶え間なく落ち続けている。  とても、静かで心地よい。  店主は私の事を若いと言ってくれたが、あと3日もすれば三十路(みそじ)を迎える。  務めている商社では独身女性は私だけになってしまった。付き合っている男性もいない。寂れているのは私の方かも知れない。  ――カラン。  珈琲をあとひと口残したところで店のドアにつけられたカウベルが鳴った。 「いらっしゃいませ」  ちらりと入り口を見ると、ずぶ濡れの男の人が立っていた。 「すみません。申し訳ないんですがタオルをお借りしても……」  男性が言い終わる前に店主がタオルを手渡した。 「良ければ奥で着替えては? 私のもので良ければお貸しします。お時間があるなら服は乾かしておきますよ」 「いえ、そこまでしていただくわけには……」 「風邪をひかれては困ります。うちの店へいらしてくれたのも何かの縁ですので」  男性は少し戸惑っていたようだが、店主の柔らかな微笑みに頷いた。 「すみません……。ありがとうございます」 「どうぞ、こちらへ」  店の奥へ消えていったふたりを眺めながら、残りの珈琲を口にした。  程なくして、店主のものであろうスウェット姿で現れた男性と目が合った。  私は伝票に視線を逸らし、席を立った。     
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