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羽麗は、休み時間の度にクラスの連中に囲まれていた。
昼休み、俺は羽麗を教室から連れ出した。
「ちょっと来い」
「どうしたのだ?」
「良いから」
半ば強引に連れ出した、男子共が何やら言っていたが、この際無視だ
「どこまで行くのだ」
「屋上」
階段を上がりながら答えた後は、無言で階段を上がった
10月終わりの空は秋晴れで、雲ひとつ無い澄んだ青空が広がっていた
「何しに来た」
俺は、振り返るとついてきていた羽麗に言った。
羽麗は、フッと笑うと
「戦闘が始まるからに決まっているだろう、昨夜情報が入ったのだ。1週間後お前の住むこの街に妖怪共の総攻撃が来る。いよいよ始まるのだ、人間と妖怪との戦争がな」
「何言ってるんだ?なん百年前の妖魔大戦じゃあるまいし、そこまでの力がある妖怪なんてもう居ないだろ」
「呑気なものだな蒼、お前の使鬼も感じている筈だ、それとも平和ボケしたか?」
羽麗は、小馬鹿にしたように俺を見上げた
「今日の夜、緊急会合が行われる。今頃お前の家にも使鬼からの連絡が届いている筈だ。」
「総攻撃が来るなら、俺達が使っている使鬼にも異変が起きるだろう。邑はいつもと変わらなかった」
「邑は、別物であろう。代々小村家を守ってきた妖だ、お前や憂殿を裏切る事は無い。笹原家の使鬼が、今朝から行方が分からなくてな」
羽麗の言った憂とは、俺の父親だ
小村 憂(こむら ゆう)今も現役の払い屋として、毎日忙しくしている
笹原の使鬼が、行方不明?
「鬼妃と細雪なら、今朝家に居たぞ」
「は?何をしに」
「俺に聞くなよ」
「普通有り得ないだろう!使鬼が、主から離れるなど鬼妃と細雪は、啓介の使鬼だ」
「だから、俺に聞くなって、邑の探し物でも手伝いに来たんじゃないのか?今朝から騒いでたし」
「尚更有り得ないだろ!主に無断で居なくなるなど、啓介は今朝から探し回っておるのだぞ!」
子供の家出か!
突っ込みたかったが、俺はスマホをだし啓介に連絡した
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