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『へ?蒼ちゃん家に?』
「ああ、今朝家で朝飯食ってた」
『あ…朝飯……そうなんだ。まぁ無事なら良かった』
コイツ静かにキレるのは、昔から変わらないな
笹原 啓介(ささはら けいすけ)は、隣町に住んでいる。啓介の家も代々続く払い屋の名家だ
そして、今俺の目の前に居る羽麗は、全国に居る払い屋の総元締の家の子で、羽麗の爺さんが元締をやっている。
羽麗と啓介と俺は、親達が仲良くて小さな頃は良くお互いの家に遊びに行っていた。俺達が払い屋として仕事をするようになってからは、滅多に会わなくなった。
啓介とは、1年半ぶりだな…
『学校が終わったら、蒼ちゃん家に寄るよ。今夜の会合行くでしょう?』
「ああ、分かった」
俺が話し終わると、羽麗はフェンス越しに街を見ていた
羽麗の言う通り、1週間後本当に妖怪が総攻撃なんかして来るのだろうか…、払い屋が忙しいとはいえ、ここ半年は厄祓いや方角を見る等の依頼が増えた。
時折、森や林で妖怪を見かけるが、祓う程のモノでもなく、普通の人には見えないが、見える者からすれば、上手く共存していると思えた。
人間と妖怪、流れる時は違えど同じ世界に生きている。
「妖怪は、人間が従えるモノではないが、害となる妖怪は、同じ妖怪にも害になる、私達払い屋は人間と妖怪の両方を守ったリもしているのかもな」
そう言った羽麗の髪が、風にサラサラと揺れる。人間と妖怪の両方…か
払い屋は、妖怪の力を借りて払い屋の仕事をしている
使鬼がいなければ、払い屋として動くのに限界があるからだ、羽麗程の能力があれば大丈夫だろうなぁ
「何を見つめている」
「は?見つめてない」
「蒼も本気になれば、私以上の力があるだろう。そろそろ本気を出すべきだ」
「その時になればな」
俺は、羽麗を連れ出しといて、先に屋上を後にした
「夜千与」
『お嬢、何故あのガキに生意気な態度をとらせる』
「そう?可愛いじゃない、あのムキになるところが」
羽麗は、嬉しそうに夜千与の頭を撫でた
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