第1章 白

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 二階建てのアパートに四人の家族が住んでいた。近くにはパチンコがあり朝から夜まで騒がしいところだった。母と父は仲がいい、、とは言えそうにない。母親の男遊び、父親の暴力、繰り返されるニチジョウ。私にとってこれが〝普通の家庭″だった。  私と妹は、5歳、4歳の年子違いだ。母親はまた男遊びに行くため私たちを置いてどこかに行ってしまう。私たち姉妹は母にどこに行くのかは聞かない。分かっていた本当のことは言わないと。姉妹は去っていく母親のことなど気にせず黙々と積み木をたてていくそっと、そっと、、、  「お母さん、買い物行くけど一緒に来る」母の問いに私は嬉しそうに返事をする。うん!行きたい!だが、そう言ってたのは束の間、母親は黙って家を出た。何が起ったのかさっぱりわからない私はテレビを観た。涙が止まらない、、テレビに集中したくても感情が段々と込み上げてくる。ダメだ、お母さん。私は靴も履かず外に出て泣きながら母の姿を捜す。見つけた母の背中を必死に追いかけた、、届きそうで届かない。追いかけても追いかけても離れていく母親の姿。お母さん、待って。お母さん、、、?私は立ち止まり母の姿が消えるまで見つめていた。      
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