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「空が綺麗だな」
そう僕は小さくつぶやいた。
雲一つない空が窓ガラス越しに見える
そこに浮かぶ星と青白い月。
今日は色々ありすぎて驚いて、疲れてしまった。
それに、オルヴァも僕を守ろうとしてくれたし。
そういった好意が嬉しくて、答えられないからこそ幸せになれる誰かを探してあげようと思うのだ。
「皆が幸せになれると良いな。あ、もちろん僕もだけれど」
そのために僕は頑張っているのだから。
そう思って空を見上げる。
白く丸い月が、僕を祝福してくれているようだ。
今日が満月だと気付いていなかったが、その満たされた月を見ていると、これから何か良い事があるような気がする。
そこで少し動くとちゃりっと二本の足に付けられた枷と鎖が鳴る。
片足ずつ、鎖の付いたそれを見て、その二本の鎖に囚われた僕が気に入っているとか、オルヴァは趣味が悪いと思う。
こんなもの簡単に外せるから僕は構わないのだけれどねと小さく僕は舌を出して、僕は自分の服を見る。
この服も神秘的だけれど、脱ぎやすい半面脱がせやすいんじゃないかと最近思う。
でもこれは邪推のしすぎかもしれない。
「この格好の方が謎めいているのは確かだし。普段こんな服を着て歩いている人はいないからね。でも、普段オルヴァは大した事のない依頼しか僕に持ってこない気がするな。今回はたまたま関わっただけだし」
もう少し頼ってくれてもいいのではないかと僕は思うのだ。
そこで足音が聞こえる。
二つ。
エリアスとオルヴァの二人かもと思う。
今は占いはしていないけれど、後でエリアスはオルヴァの元にいって、孤児院の方の僕の様子を聞くはずだったから。
どんな風に聞いてみよう。
孤児院のルイスとは会えた? と白々しく聞いてみようか。
会えるはずもないだろうし。
まだ僕は人形を作っていないのだから。
そこで、エリアスとオルヴァが現れる。
にっこりとほほ笑む僕は、何故か薄く笑う二人に不安を覚えた。
嫌な予感がする。
そう僕が思っていると、オルヴァが僕に告げた。
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