倉橋唯と告白

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 初日は班別自主研修がないため、落ち着いて過ごすことができた。昼食を食べ、有名な寺を訪れ、神奈川に向かう。それが、今日の予定である。  バスが着いたのは昼過ぎであり、予定より少し遅かった。 「なあ、どこで食べる?」  熟睡していた鶴原が起きると同時に訊いた。 「起きたと思ったら、飯の話かよ」  俺は呆れて、答える。ちなみに、修学旅行の昼食は自由に選んでいいことになっている。 「いろいろ見て、決めましょう」  新里は言って、バスを降りる。俺と鶴原もそれに続いた。やがて、倉橋が来て、四人は合流した。 「どうする? 美味しいうどん屋、知ってるけど」  倉橋は歩きながら言う。どこに向かっているかは分からないが、俺たちもついていく。  彼女に言われるがままに行ったうどん屋は、少し前に、SNSで話題になった店だった。うどんも評判通り、とても美味しかった。  倉橋は俺たちの満足そうな顔を見て、 「少しは協力できたみたいだから、よかった」  とほっとしたように言った。 「そんなこと、言わなくても、いいわよ。こっちの馬鹿男子二人は何もしてないんだから」  新里が笑いながら言う。鶴原がその発言にすぐさま抗議した。 「ちょっと待て。その馬鹿な男子は、俺のことじゃないだろうな」 「もちろん、そうよ。というか、あなたたち以外に誰がいるっていう訳?」 「まったく、本当にはっきり言うよな。でも、美帆、お前も何もしてないだろう?」 「そんな嫌味ばっかり言っていると、生徒会長になれないわよ」  新里がそう言うと、鶴原は驚いたような表情になった。 「お前、なんで、そんなこと知ってるんだよ?」 「唯から聞いたわ。それに、私と翔太が何年、あなたの幼馴染みをやってると思ってるの? そんな仕事に興味があるのは、かなり前から、分かっていたわ」  俺は鶴原自身から言われるまで、まったくきづかなかった。新里は鋭い上、よく人を見ているものだ。俺は感心した。
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