弟1章…怠惰な王子様

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「シャルロ王子様!」  今日もシャルロの名前を叫びながら宮殿内を捜し回っているのは、シャルロの教育係を任されているフランツ護衛官だ。  文官にも見える線の細い体つきだが、優れた剣術の使い手だ。  顔立ちは気品にあふれ、立ち振る舞いも優雅なフランツは、まるで貴公子のようだと侍女たちの間ではたいそう人気だった。  皆は知らぬがフランツは亡国の王子として生まれ、このヴィトロル王国に逃げてきた元王族である。 「シャルロ王子様!」  フランツが叫ぶ。  シャルロ王子は第三王子だ。    第一王子のシリル王子は国王陛下に似て文武両道。  第二王子のフェリクス王子は武芸は不得手だが、学問はたいそうできる。  第三王子のシャルロ王子だけが武芸も学問もできないのである。  そもそも本人にやる気がないのだ。
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