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ザァ…
高く立ち並ぶビルの一角に貼り付けられた巨大なポスター。
雨に濡れても滲むことも無い。
私はそのポスターから目が離せずにいた。
綾目 悠。
私とは住む世界が違う彼。
彼と会えるのはブラウン管越し。
そう。
彼は綾目 悠と言う日本ではかなり有名な俳優。
彼の出たドラマや映画は最高視聴率をたたき出す程で。
彼の才能は演技だけでは無く運動神経も抜群で歌唱力も最高級。
この世の女性はみんな彼が愛しくて仕方ない。
吸い込まれそうな瞳。
童顔なのに何処か色気のあるフェイス。
何をやらせてもこなして見せる才能。
彼はブラウン管の向こうで生きるために生まれてきたような人。
私なんかに絶対手の届かない人。
ザザァ…
次第に雨は強くなり街は急いで帰ろうとする人達で溢れていた。
そんな中真っ赤な傘をさして私は呆然とそのポスターを見つめていた。
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