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ガチャ
静かなアパートに響く鍵の開く音。
私は扉を開けると彼に目を移した。
「どうぞ」
そう言うと彼は私から玄関へと目を移して。
「俺が先に入るの?」
と言った。
「嫌ですか?」
「普通嫌だろ?」
「そういうもんなんですね。」
私はまずは自分で入ることにした。
玄関に靴を脱ぐと揃えて脇に添えた。
「お邪魔します」
後に続いて彼は私の家へと足を踏み入れた。
靴は脱ぎっぱなしで足もぐちゃぐちゃに濡れていた。
「服、、、男物無いんで私のジャージ持ってきますね。」
そう言って慌てて寝室に入り込んでタンスを漁った。
夢見たい、嘘みたい。
あの綾目 悠がうちに居る。
私は何とも言えない気持ちになった。
ジャージを抱きしめ私は彼の元に戻った。
彼は濡れた靴下を脱いで左手に握ったまま玄関に立っていた。
「これ、私のジャージですが良かったら来てください。先にそのままお風呂へ。風邪ひきますよ。」
そう言ってお風呂の扉を開けると彼は私の腕からジャージを掴むと。
「サンキュー」
と言って入って行った。
少しするとシャワーの音が扉の向こうから聞こえて来て我に返る。
彼がお風呂へ入ってから今まで私はその場から動けずに居たのだ。
「あ!ホットミルク」
いつか雑誌で読んだことがあった。
お風呂上り綾目 悠はホットミルクを飲むと書いてあった事を思い出した。
それから私もお風呂上りはホットミルクを飲むようになったのだ。
キッチンに入るとホットミルクを作り始めた。
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