きっかけはお代わりし放題のコーヒー

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「聞いてください。信じなくていいです。私には、あの、なんていうか、能力があるんです」 猫野ミノリは成人して一年。背の低さと控えめな胸のおかげで高校生くらいに見える。黒髪ミドルは成人してからの髪型だ。 「何かあるだろうねそりゃ」スーツ姿の扇は受け流した。この後輩の言う事を全部真剣に受け取ると酷い目に遭う。 「そういう意味じゃなくて! 超!能力です」 ミノリの目は真剣だった。 「どうしても探偵になりたくて、ポーの小説は全部読んだし……」 読書感想会みたいな10分が過ぎた。実用的なの読めよ。扇は指摘はしない。 「……で?」 「気付いたんです。ぎりぎりまで、それこそ気絶しそうなくらい切羽詰まると、私、推理っていうか何か見えるんです」 「へえ」それは妄想って言うんじゃないかな。 「で、今日は先輩に実証しに来ました。私は先輩がいま幾ら現金を持っているか知りませんよね?」 「……そうだね」 気が付けばミノリはコーヒーを飲み干しては新しいのを注いでいた。 「ぎ……ぎりぎりになってきました」 尿意? らしかった。 「99%」 「ん?」 「尿意です。限界です」 大変なことに付き合わされているんじゃないか?
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