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「あ、あやめ。ほんとに穂乃花が間に合わなくなるぞ。」お父さんの断末魔に我にかえるお母さん。
「あーっ、ヤバイよぉ。穂乃花、早く着替えなさい。」
「むーっ、お父さん着替えさせて。」
「バカなこといってないで早くしなさい。って裕ちゃん、何してんの?」
お父さんは着替えの手伝いのため、私のスーツを準備していた。
「何って?穂乃花が言ってたじゃ…。ぐぇぇぇぇぇ。」グシャっという音と共にお父さんは私の視界から消えた。
「さっさとしなさい。あと裕ちゃんは穂乃花が行った後わかってるわよね?」
どす黒い笑顔のお母さんに引きずられていったお父さん。ご免なさい。
「お早うございます。穂乃花様。」
8時ジャストに迎えに来た高山さん。
私もなんだかんだ言いながら準備は完璧だ。
「おはようごさいます。」
「おはよう。藤君決まってるね。」
「ありがとうございます。叔母さん…。ぐはぁー。」
お母さんの霧に潰されて呻いている男子。
蓮華伯父さんの一人息子。私の従兄弟で幼馴染。幼稚園からずーっと同級生で今日から同僚。私の大好きな男の子。月島藤君。
「懲りないのね。お母さんに叔母さんは禁句ってまだわからないの。」
「だってよ。お父さんがあやめさんのことは叔母さんとよべって…。ぎゃあー。」
「藤くんには一度ゆっくりお話しないといけないわね。」
ニコニコしながら従兄弟を踏み潰す母。
「義兄さんの息子なんだから叔母さんで間違ってないだろ。ぞうきん!!」
「きゃうきゃう。裕ちゃんのばかぁ。」
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