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みんなが振り向く。
「ま、舞花だぁ。」
「キャー。本物よ。」
司会者席。そこには今をときめく大アイドルにして私の姉、嶋田舞花がこちらを睨みながらマイクを握っていた。
どうやら今日の入社式に仕事で呼ばれたらしい。
「みんな、あれ私の可愛いカワイイ妹だから。仲良くしてあげてね。」
「はーい。」ふー君と私を除く全員が返事をした。
…。
「ねぇ、あそこにいこ。」
入社式が終わって心身ともに疲れはてた私はふー君を誘って屋上の喫茶店にきた。
この喫茶店は見晴らしが素晴らしく気分が滅入ってしまったときに二人でくるお気に入りのお店だ。
小学生の時、いじめにあった私を救ってくれたふー君に連れてきてもらった喫茶店。子供ながらに見た景色は忘れられない。あと、小学生にはコーヒーがとても苦かった。
それからずっと通っている。
苦かったコーヒーは私の起爆剤だ。ふー君がマスター私の気分を毎回伝えてくれているみたいで、その時にあう豆でコーヒーを引いてくれる。
「ふー君と入社式にこれてよかった。」
「ん?何で。」「何でもない。」
だってお気に入りのお店に好きな人とこれるんだよ。入学式や卒業式には必ず二人で来たお店なんだから…。
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